====== 考古学と古代史のあいだ ====== {{tag>}} ~~DISCUSSION:off~~ 白石太一郎「考古学と古代史のあいだ」ちくま学芸文庫, 読了. 高校生向けの本の文庫新版. 自然科学としての「考古学」と, 人文科学としての「古代史」特に「文献史学」の, 方法論の違いをわきまえ, 安易な統合でなく, それぞれの方法論をきちっとわきまえたうえで, 他方の考証の結果を取りいれていく, 学問に対する姿勢を強調しながら, 古墳時代の考察を述べている. 「魏志倭人伝」や「記紀」などの記述を基にする「文献史学」の世界は, 素人目には, 後世に歴史を残す目的で, うそ八百書かれていたかもしれない資料から導かれた世界. 古墳などの発掘品から推論する基になるものは, 歴史を残す為に作為をもって作られた可能性は, ほとんどないだろう, と思っている理系人間の私にとって, 考古学的考察を主にし, 文献史学的考察を謙虚に考慮に入れながら論を立てていく本書で述べられている論証は, ある程度説得力を持ってうったえてくる. このところ, 「学際」とか「学問分野」の「融合」などということが, 声高にさけばれているが, いろいろ教えられる事が多い本だった.