本日(1日)12時の実況天気図を見ると、1016hPaの等圧線が、東海道沖で南に大きく湾曲しています。この影響もあり、北アルプスの北側を抜けると予想された湿った空気が北アルプスに流れ込む形に変わってしまい、ガスがなかなか抜けませんでした。...
西穂山荘付近では午後になって抜け始めましたが、標高の高いところの回復は遅れました。
ゴールデンウィークで多くの登山者が山を訪れるとともに、遭難事故も多発していますので、今日も天気図を元に今後の天気について見てみます。
明日2日(月)を見ると、日本付近では、大勢に大きな変化はありません。
風も次第に弱まり、良い天気に恵まれそうです。
ただし、気温がかなり上昇しそうです。西穂の山頂の朝6時の予想が0度、午後3時に8度の予想ですので、登っていれば暑さを感じるくらいです。
気温上昇により全層雪崩が発生する可能性がありますので、沢筋や急斜面の雪崩が発生しやすい場所では注意が必要です。
3日(火)の天気図では、前日には予想されていなかった前線が東シナ海に記載されています。また日本列島には北東から南西に向かって等圧線が走り、朝鮮半島北部にある低気圧が接近してくるにしたがって、さらにその間隔が狭くなることが予想されます。
この影響もあって、上空には昨日の予想よりも早く雲が広がりそうです。
等圧線の間隔が狭いということは、気圧の差が大きいということを意味しますので、強い風が吹きます。
これらのことから3日の天気を予想すると、天候は曇り。南寄りの風が強く、午後にはかなり強まりそうです。
西穂山頂あたりですと、朝6時に南南西の風15m、12時に25m、15時に27mと非常に強い風が予想されます。
強風による転倒・滑落、テントの倒壊、樹林帯では倒木等にも注意が必要です。
4日(水)は午前中まで、大荒れの天気になる可能性があります。
朝鮮半島北部にあった低気圧は沿海州付近に進みますが、そこから伸びる寒冷前線が北陸から北日本にかかってきます。
また、東シナ海にあった前線上に低気圧が発生し、西日本から東日本を横断しそうです。
最後に掲載した画像の上段は500hPaの予想天気図で、これも4日午前9時の予想図です。
日本の西に非常に深い気圧の谷があり、沿海州付近で等高度線が曲線ではなく、丸く閉じた形になっています。このようなものを寒冷渦と呼んでいますが、接近してくる際に非常に荒れた天気をもたらす可能性があるため、警戒すべき天気図です。
これらのことから、3日夜から4日にかけて全国的に天候は崩れそうです。中部山岳では4日の未明から午前中にかけて大きな影響が出そうです。
北アルプスでは、明け方から午前中にかけて強い雨が降り、強い南風が吹きます。西穂山頂付近では、朝6時に南南西の風30mと予想されています。
前日同様、強風への警戒が必要になるとともに、大雨による沢の増水や鉄砲水、土砂崩れ等にも警戒が必要です。
八ヶ岳や南アルプスでも、時間の差はあるものの、大荒れになる傾向は同じで、南アルプスでは雷にも注意が必要です。
この荒れた天気は昼までで、午後には急速に回復し晴れ間が広がると予想されています。
ただし、天候回復と同時に気温は下がってきます。
翌5日は西から高気圧が進んできそうですので、好天が期待できそうです。
これらはあくまで現時点での予想値を元にしたものですので、変わってくる可能性は十分あります。
山の事故が多発しています。この投稿での情報も参考にしていただき、慎重に行動していただくようにお願い致します。
( 粟 澤 )
( 地上天気図提供 : 日本気象協会 )
( 高層天気図 : HBCホームページより )