FC2ブログ
「糖質制限食」と「従来の糖尿病食」とEBMについて
【19/04/17 西村典彦
日本糖尿病学会のガイドラインについて
「糖尿病診療のエビデンス」能登 洋著 (58ページ)によると
「炭水化物50〜60%エネルギー、タンパク質20%エネルギー以下を目安とし残りを脂質とする」と言う日本糖尿病学会のガイドラインの根拠は炭水化物については血糖や脂質を評価したRCT主体のメタアナリシスに基づいていると記載されていますので、本当ならエビデンスレベルは高かそうです。
しかし、ガイドラインに従っても日本の糖尿病患者は減る気配はなく、私自身もそんなに炭水化物を食べれば血糖値をコントロールできなくなるのは経験上わかっています。
メタアナリシスに基づいているならばメタアナリシス自身に問題がある、もしくは目指すものが違う(合併症以外のファクター)と思われますが、どのような点に誤りやバイアスがあるのでしょうか。】


西村典彦 さん

「糖尿病診療のエビデンス」能登 洋著 は、2015年刊行ですね。
「糖尿病診療ガイドライン2016」の食事療法の部分、 37ページに
Q3-1 糖尿病における食事療法の意義と最適な栄養素のバランスは
どのようなものか?
に対し、
「摂取エネルギーのうち、炭水化物を50-60%、たんぱく質20%以下
を目安とし、残りを脂質とする。」
と記載しています。
しかし、推奨グレードの表示はなしです。
従って、エビデンスはないに等しいと思われます。
「糖尿病診療ガイドライン2016」は
2016/5/23刊行です。

能登先生、2018年には、
山田悟先生と一緒に、糖質制限食肯定の論文を書いておられます。


さて、
EBMが現在、医学界を席巻しています。

<EBMとは>

Evidence Based Medicine(証拠に基づく医学)を略してEBMと言います。
EBMだけに頼る医療には、明確に限界があります。
一方、EBMを無視する医療にも、明確に限界があります。
ともあれ今回の記事は、EBMについて考察してみます。

医学界において、evidence(エビデンス、証拠、根拠)となるのは、
基本的に医学雑誌に掲載された論文です。
ニューイングランド・ジャーナル、ランセット、米国医師会雑誌など、
定評ある医学専門誌に掲載された論文であることも、
evidence(エビデンス、証拠)の大きな要素となります。

その論文も
①無作為割り付け臨床試験(RCT)
②前向きコホート研究

の二つが信頼度の高いものとなります。
その論文も「糖尿病診療ガイドライン2016」によれば、

・レベル1+: 質の高いランダム化比較試験(RCT)およびそれらの
メタアナリシス(MA)/ システマティック・レビュー(SR)

・レベル1:それ以外のRCTおよびそれらのMA / SR

・レベル2:前向きコホート研究およびそれらのMA / SR 
     (事前に定めた)RCTサブ解析

・レベル3:非ランダム化比較試験 前後比較試験
      後ろ向きコホート研究
      ケースコントロール研究およびそれらのMA / SR
      RCT後付けサブ解析

・レベル4:横断研究 症例集積

*質の高いRCTとは
(1)多数例
(2)二重盲検、独立判定
(3)高追跡率
(4)ランダム割り付け法が明確

などをさす。 

といった順番で、信頼度に差をつけられています。
これを研究デザインのヒエラルキーと呼ぶそうです。
他にコンセンサスがありますが、コンセンサスは、
実証的研究に基づかない権威者の意見や合意なので、エビデンスとは言えません。
一般にエビデンスレベルが高い研究論文と言うときは、

(1) レベル1+ / レベル1
(2) レベル2

に基づく論文のことをさします。

症例報告も大切な医学研究の一つなのですが、
ことEBMというときは、「無作為割り付け臨床試験(RCT)」と「前向きコホート研究」
だけ考慮すればいいということです。

かつて、医学界では
実証的研究に基づかない権威者の意見や合意(コンセンサス)が幅を利かしていて、
学会発表などでも、有名大教授で権威者の先生が「私はこう思う」といったら、
水戸黄門の印籠みたいなもので「ヘヘー、恐れ入りました」という事で
一件落着という世界だったのです。

権威者が、何人か寄り集まって、ガイドラインの内容を決めると、
コンセンサスによる決定となります。
これは、上述のヒエラルキーからみると、エビデンスレベルは最低、
エビデンスなしということです。

権威者の意見や、コンセンサスに基づく見解などに頼っているのは、
非科学的であるという批判が、世界中の医学界で続出して、
それではよろしくないということで、
evidence based medhicine(証拠に基づく医学)→略してEBMが登場したわけです。

<従来の糖尿病食にはエビデンスがない>
前振りが長かったですが、
「糖尿病診療ガイドライン2016」の食事療法の部分、 37ページに

Q3-1 糖尿病における食事療法の意義と最適な栄養素のバランスは
どのようなものか?

に対し、

「摂取エネルギーのうち、炭水化物を50-60%、たんぱく質20%以下
を目安とし、残りを脂質とする。」


と記載しています。
しかし、推奨グレードの表示はなしです。
以前の、「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2010」の食事療法、
31ページでは、「炭水化物は指示エネルギー量の50~60%」と、
グレードAで推奨してありますが、根拠はなんとコンセンサスで、
科学的根拠に基づいていないことが明示されていました。

2010年に比べれば2016年は、エビデンスのないことを
グレードAで推奨するという暴挙がなくなった分よしとしましょう。
ちなみに「2型糖尿病患者に運動療法は有効か?」に対しては、
血糖コントロールに有効で、推奨グレードAです。

結局、糖尿病の食事療法に関しては、
日本糖尿病学会が推奨する糖尿病食(カロリー制限高糖質食)には
エビデンスはないのです。

<糖質制限食にはエビデンスがある>

一方、ひいき目と言われるかもしれませんが
糖質制限食においては、一定のエビデンスがあります。
以下に、EBMとして信頼度の高い長期の研究を列挙します。
いずれも、糖質制限食の『長期的有効性・安全性』を保証する論文です。
なおこれらの論文は、スーパー糖質制限食に関するものではありません。
普通に食事をしている集団(糖質も食べている)において、
糖質を多く食べている群と比較的少ない群を比較したものです。
1年間の研究ならスーパー糖質制限食のRCTが少なくとも2つあります。

1)はRCT論文で8年間であり、信頼度はトップランクの研究です。
2)3)4)5)6)は前向きコホート研究であり、信頼度は上から二番目です。

糖質制限食の長期的安全性の肯定に関しては、
EBMに基づき少なくとも6つの信頼度の高い研究論文が存在するわけです。

例えば
2)は
炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較です。
炭水化物摂取の多いグループは冠動脈疾患リスクが増加です。

4)は
糖質摂取比率51.5%のグループと糖質摂取比率72.7%のグループの比較です。
糖質摂取比率が一番少ない51.5%のグループは一番多い72.7%のグループに比較すると
心血管死のリスクが59%しかありません。

いずれも糖質大量摂取の弊害(心血管リスク)を如実に示しています。
結果として糖質摂取が少ないほど心血管リスク軽減において有利になることも示しています。

6)は2017年8月にランセットに発表されました。
「炭水化物の摂取比率が多いほど、総死亡率が上昇し
脂質の摂取比率が多いほど、雄死亡率が低下」
ですから、まさに夏井睦先生の言う「炭水化物が人類を滅ぼす」ですね。


長期の研究
1)RCT論文

低糖質地中海食(LCMD)。8年間RCT論文。
糖質50%未満のLCMD群と低脂肪群の比較。
女性は1800kcal/日。男性は1800kcal/日。
新たに診断された2型糖尿病患者では、LCMDは低脂肪食と比較して、
HbA1cレベルの大きな減少、糖尿病の寛解率が高く、糖尿病治療薬の導入を遅らせた。
Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1824-30.
The effects of a Mediterranean diet on the need for diabetes drugs and remission of newly diagnosed type 2 diabetes: follow-up of a randomized trial.

2)前向きコホート研究
低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし
一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。
高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。
ニューイングランドジャーナルのコホート研究  
82802人 20年間 2006年掲載 ハーバード大学
炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.

3)前向きコホート研究
21論文、約35万人をメタアナリシスして、
5~23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生。
飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、
飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが判明。
Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease.  Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.

4)前向きコホート研究
「糖質制限食の安全性にエビデンス」
前向きコホート試験NIPPON DATA80 29年間 中村保幸
第10分位(糖質摂取比率51.5%)のグループは、第1分位(糖質摂取比率72.7%)のグループに比べて女性においては心血管死のリスクが、
59%しかないという素晴らしい結論で、糖質制限食の圧勝。
Br J Nutr 2014; 112: 916-924


5)前向きコホート研究

上海コホート研究
「糖質摂取量により4群に分けて、糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」
11万7366人を対象に、調べた研究。
女性が6万4,854人で、平均追跡期間が9.8年。
男性が5万2,512人で、平均追跡期間が5.4年。

女性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量264g/日未満 ---------- 1.00
2、糖質摂取量264g~282g/日未満-------- 1.19
3、糖質摂取量282g~299g/日未満-------- 1.76
4、糖質摂取量299g/日以上 ----------- 2.41

男性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量296g/日未満 ------------ 1.00

2、糖質摂取量296g~319g/日未満 ---------- 1.50

3、糖質摂取量319g~339g/日未満 ---------- 2.22

4、糖質摂取量339g/日以上
Am J Epidemiol. 2013 Nov 15;178(10):1542-9.
Dietary carbohydrates, refined grains, glycemic load, and risk of coronary heart disease in Chinese adults.

6)前向きコホート研究
 『炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇』
ランセット誌のオンライン版(2017/8/29)で、
 カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan博士らが報告。
5大陸18カ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証した大規模疫学前向きコホート研究(Prospective Urban Rural Epidemiology:PURE)の結果。
2003年1月1日時点で35~70歳の13万5335例を登録し、
2013年3月31日まで中央値で7.4年間も追跡調査。
論文の内容を要約
1)炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連。
2)総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連。
3)総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連しない。
4)飽和脂質は脳卒中と逆相関している。

炭水化物摂取比率    総死亡率
1群 46.4%          4.1%
2群 54.6%         4.2%
3群 60.8%         4.5%
4群 67.7%         4.9%
5群 77.2%         7.2%

脂肪の摂取比率     総死亡率
1群 10.6%         6.7%
2群 18.0%         5.1%
3群 24.2%         4.6%
4群 29.1%         4.3%
5群 35.3%         4.1%



<生理学的事実>
さらに、生理学的事実として、糖尿人が糖質を摂取した場合、
糖質制限食なら、食後高血糖は生じませんが、
従来の糖尿病食なら、食後高血糖が必ず生じるということは明白です。

そして、
国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2007年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2011年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」


によれば、
食後高血糖は、
大血管合併症の独立した危険因子であり、
酸化ストレスを生じ血管内皮を障害し、
糖尿病網膜症と関係し、
IMT肥厚と関係し、
認知障害にも関係し、
癌発症リスク上昇と関連するとのことです。

糖質制限食により、食後高血糖を防ぐことの意味は、大変大きいと思います。


江部康二
DNA、遺伝子、ゲノム、染色体って何?
こんばんは。

ただいま朝日カルチャー湘南のPPTスライドを作成しています。
その中でチンパンジーとヒトは、約700万年前に分岐して、
「生物種としては、最も近縁である」というお話もしようと思っています。

そして、『チンパンジーとヒトのDNAは99%同一』と以前からスライドに記載していたのですが、
「あれ?ゲノムとDNAってどう違うんだっけ?」
「ついでに、遺伝子とか染色体とか、言葉はよく使うけど、正確な定義は?」
などという、原初の疑問が湧いてきて、フリーズしてしまいました。
医学部で絶対、学んだはずなのですが、
いつのまにやらアヤフヤ状態に陥っていました。(-_-;)

それで、心機一転、ネットで勉強し直しました。
読者の皆さんも、トリビアで役に立たない知識かもしれないけれど
知っていて損はないのでお付き合い頂けば幸いです。

いろいろ探して、
一番わかりやすいし他人にも説明しやすい解説のあるサイトを見つけました。

ということで、まずは音楽のカセットテープをイメージしてください。
未録音のテープが「DNA」です。
テープにすり込まれた曲情報が「遺伝子」です。
録音済みのテープが「ゲノム」です。


ここまでで、何となく全体像がつかめたことと思います。

DNAは、2重らせん構造の繊維です。
遺伝子は情報そのものです。
遺伝子情報が組み込まれたDNAがゲノムです。
ゲノムには、録音済みテープと同様に、情報がある部分とない部分が存在しています。

長いテープ(DNA)の中で、曲が録音された部分を「遺伝子」と呼びます。
そして、このテープの情報全部のことを「ゲノム」と呼びます。

DNAだけなら単なる構造物に過ぎませんので役に立ちませんが(未録音のテープ)
遺伝子という情報を組み込むことで(録音済みのテープ)、様々なタンパク質をつくることが可能となります。

それでは次に、染色体って何なん?ということになりますが、
「染色体」はカセットの役割を兼ねて、トータルして未録音カセットテープです。
DNAという2重らせんの繊維は、ヒストンというタンパク質に巻き付くことによって
安定した構造を確保していて、それを染色体と呼ぶのです。
生テープだと、構造的に不安定なので、カセットテープにして
安定化させているのと一緒の理屈ですね。


体は、タンパク質でできています。
遺伝子はタンパク質をつくる情報です。
どんなタンパク質をつくるか、という情報が遺伝子です。
DNAというひもの上に、遺伝子という「情報」が書かれています。
DNAは、ひもが2本、らせん状にからまっている形をした長い分子です。
<DNA=単なるらせんの紐2本>のことであり、
<ゲノム=DNA+遺伝子>です。

ここまで説明してきましたが、すなわち冒頭の
『チンパンジーとヒトのDNAは99%同一』というのは不正確であり
『チンパンジーとヒトのゲノムは99%同一』というのが正確ということになります。


ヒトのゲノムにおいて、
タンパク質の情報が書いてある部分はほんの一部とされています。
遺伝子情報が入っていない部分には、何が書かれているのか、
今もよくわかっていません。
なお、ヒトの「遺伝子」の数は、現在のところ約2万9千箇所とのことです。


今回の記事は理学博士の加藤牧菜先生の
以下の記事を参考にさせて頂きました。
ありがとうございました。

https://www.manabinoba.com/science/9304.html
内田洋行教育総合研究所
おすすめ特集記事
科学夜話
第5回「生命科学」
科学エッセイ:遺伝子、DNA、ゲノムってなに?


江部康二

2019年6月9日(日)『糖質制限食講演会 in 徳島』開催です。
こんにちは。

2019年6月9日(日)に徳島市内で、
日本糖質制限医療推進協会主催、
新老人の会(四国連合、徳島支部)と徳島県糖質制限研究会の共催による、
一般の方向けの糖質制限食講演会を開催いたします。

『 糖質制限食講演会 in 徳島
   ~美味しく楽しく、炭水化物(糖質)を減らして健康に!』


第一部でご講演頂く板東浩先生は、
日本抗加齢医学会評議員で、
アンチエイジング、糖質制限、音楽療法、スポーツ医学等の幅広い領域で
活躍しておられますが、ピアノもご堪能です。

第二部では、私が糖質制限食の基礎理論と症例、最新の情報などを
わかりすくを目指してお話しします。
症例はCGMデータを中心に、グラフを交えてお話しします。

前夜祭では、『不肖江部康二のボーカルと板東浩先生のピアノ』で、
ミニライブを行いますので、乞うご期待です。

徳島、香川、四国方面の糖尿人、メタボ人、生活習慣病人の方々
是非、ご参加頂けば幸いです。


江部康二


以下、事務局からのお知らせです。

***********

ブログ読者の皆様、いつも弊会のイベントへ多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。


6月9日(日)に徳島市内で、当会主催、新老人の会(四国連合、徳島支部)と徳島県糖質制限研究会の共催による、一般の方向けの講演会を開催いたします。


第1部では、徳島在住、日本抗加齢医学会評議員で、アンチエイジング、糖質制限、音楽療法、スポーツ医学等の幅広い領域で活躍しておられる医師の板東浩先生に「糖質制限で心身ともに健やかに」と題してご講演いただきます。


第2部では、理事長
江部康二医師が、糖尿病や生活習慣病の改善をはじめ、糖質制限食が多くの良い効果をもたらす理由や仕組み、基礎理論等について症例も交えて解説いたします。

また、前夜にはJR徳島駅近くで交流会を催します。講師、糖質制限を実践している方、興味のある方同士で楽しく交流してみませんか。


四国にお住まいの方をはじめ、たくさんのご参加を心よりお待ちしております。

◇弊会イベント情報URL: http://www.toushitsuseigen.or.jp/activity

///////////////////ご案内/////////////////////

(一社)日本糖質制限医療推進協会主催
「新老人の会」(四国連合、徳島支部)/徳島県糖質制限研究会共催

『 糖質制限食講演会 in 徳島
   ~美味しく楽しく、炭水化物(糖質)を減らして健康に!』

◆日時: 2019年6月9日(日)13:00~15:30 ※開場・受付は12:40~

◆会場: アスティとくしま 3階 第2特別会議室

〒770-8055 徳島市山城町東浜傍示1番地1(やましろちょうひがしはまぼうじ)
http://www.asty-tokushima.jp/koutsuu/

◆内容:

◇第1部:「糖質制限で心身ともに健やかに」

板東 浩 医師 日本抗加齢医学会評議員/徳島県糖質制限研究会代表

◇第2部:「糖尿病・生活習慣病を予防、改善する糖質制限食 ~人類本来の食事、人類の健康食」


江部 康二 医師
(財)高雄病院理事長/(一社)日本糖質制限医療推進協会理事長

*第1部は40分、第2部は70分、最後に両講師との質疑応答を予定しております。

◆受講費(一律料金): 2,000円

◇◆◇ 徳島交流会 ◇◆◇

◆日時: 2019年6月8日(土)19:00~

◆場所: 阿波踊り&ミュージック カフェバーコティ

〒770-0831徳島市寺島本町西1-61-4 阿波けんどビル7F(ポッポ街 徳島駅側)
http://www.coty-awadance-music.com/guide

◆参加費:4,000円(フード・ドリンク)

◆その他:板東医師(ピアノ)、江部医師(ボーカル)のミニライブも予定しております。


【以下、講演会・交流会共通】

■お支払い方法: クレジットカード/銀行振込 ※事前決済のみとなります。

■お申し込みの流れ:

1. 下記「お申し込み方法」の該当するものからお申し込みください。
2. 事務局よりお支払い方法についてメールでご連絡します。
3. 入金確認後、予約確定のメールをお送りします。
4. 当日、直接会場までお越しいただき、受付にてお名前をお伝えください。

■お申し込み方法:

★賛助会員の方: 事務局へメールにてお申し込み下さい。

​​★賛助会員入会+講演会、交流会参加をご希望の方:

​1. 入会案内および会員規約をお読み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/sign-up

2. お申し込みは下のフォームからお願いします。
「入会ならびに講演会等出席のお問い合わせ」を選択いただき、
「通信」欄に参加ご希望のイベント名(6/9徳島講演会、6/8交流会)を
ご記入下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/contact

​★一般(賛助会員以外の方)で、講演会、交流会へ参加ご希望の方:

下のフォームからお申し込み下さい。
http://www.toushitsuseigen.or.jp/seminar-gen

​■その他

・予約制です。当日参加はできません。

・講演会のキャンセルは6月7日(金)までに事務局へご連絡願います。
 それ以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。

・交流会のキャンセルは6月4日(火)までに事務局へご連絡願います。
 それ以降のご返金は対応致しかねますので、予めご了承ください。
卵の摂取と血中コレステロールについて
【19/04/13 西村 典彦
卵の摂取と血中コレステロールについて
いつも疑問にお答え頂きありがとうございます。
さて、今回は卵の摂取と血中コレステロールについてですが、最近の医学、栄養学では食物由来のコレステロールは血中コレステロールへの影響は少ないと言われていますが、以下は私が毎日4個の卵を食べた結果です。
半年以上、1日あたり4個の卵を食べた結果、LDLコレステロールが約150→198まで上がりました。そして卵の多量摂取をやめ、タンパク源を豚ロース100gに変更したところ、2ヶ月足らずで155まで下がり、中性脂肪も97→60となっています。この結果を見ると、やはり食物由来のコレステロールは血中コレステロールに影響があるとしか思えないのですが、私が特異体質なのでしょうか。】



こんにちは。
西村典彦さんから、『卵の摂取を血中コレステロール』について
コメント・質問を頂きました。

普通の大きさの卵1個の重さは約65g、中身は約55gで、
その中のコレステロール量は約250mgです。
日本人の平均的なコレステロール摂取量は1日に300mgですので、
卵1個のコレステロール量は、それなりに多いと言えます。

100g中のコレステロール量
豚もも:46mg
豚ロース:51mg
豚ヒレ:47mg
鶏卵:428mg
鶏もも:114mg
鶏ささみ:54mg
バター:227mg
チーズ(ゴーダ):67mg


データ的には、鶏卵のコレステロール含有量はダントツに多いですね。

しかし西村さんもご指摘のように、
2015年に米国でも日本でも、食事中のコレステロールの摂取基準を撤廃しています。

これは、食事中に含まれるコレステロールの量が、
血中コレステロール濃度に影響を与えないという研究結果を踏まえてのことと思われます。

例えば米国医師会雑誌、2006年2月8日号に掲載された論文において
「<低脂肪+野菜豊富な食生活>は乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを下げない。
総コレステロール値も不変。」
JAMA ,295(6):629-642.  643-654. 655-666.
と報告されています。
5万人で対象群をおいて8年間追跡した信頼度の高い論文です。

でも、この研究、8年間の観察ですね。

わかりやすい例として、
玄米菜食的な食生活をしていて糖尿病を発症した人が
糖質制限食に切り替える場合があります。
このとき、血糖値やHbA1cは速やかに改善して正常範囲内となりますが、
LDLコレステロールは、軽く200mg/dlを超えて、
250mg/dl~300mg/dlを超えることもあります。

これは、玄米菜食時代は、食材のコレステロールが少ないので
肝臓が充分量のコレステロールを作って体内に供給していたのが、
糖質制限食に切り替えて、食材のコレステロールがおおいに増えたので、
これらが合わさってLDLコレステロール高値になったものと思われます。
勿論、肝臓が調整して徐々にLDLコレステロール値は落ち着いていくのですが、
いかんせん個人差が非常に大きいです。

半年~1~2年で落ち着くこともありますが、数年以上かかることもあります。
個人の肝臓の調整力とはまあそんなものなのでしょう。

要するに、糖質制限食実践で高コレステロール食材摂取が増えれば、
少なくとも短期的には高LDL血症になる人が結構多いと思います。


この場合、LDLコレステロールが高値であっても、
中性脂肪が80mg/dl以下で、HDLコレステロールが60mg/dl以上であれば、
善玉のLDLコレステロールであり、悪玉の小粒子LDLコレステロールは、ほとんどありませんので安心です。
糖質セイゲニストの場合はまずそうなりますので心配ないのです。

西村さんの場合も、卵をまたしっかり食べて、
LDLコレステロールが高値になったとしても、
糖質制限食の範疇であれば問題ないと思います。



江部康二

朝日カルチャーセンター湘南教室にて 糖質制限食講座開催。5/26(日)。
こんにちは。

朝日カルチャーセンター湘南教室にて
糖質制限食講座開催です。


糖質制限食による糖尿病の治療と予防
人類本来の食事、人類の健康食
https://www.asahiculture.jp/course/shonan/31c415b5-818a-5626-e8a2-5c47e1c09ffb
2019/5/26(日)13:00~14:30
講義70分間、質疑応答20分間。
朝日カルチャーセンター 朝日JTB・交流文化塾 
湘南教室
お申し込み TEL:0466-24-2255


最新の内容も含めて、わかりやすくて楽しいお話しを目指します。
東京や関東圏の方々のご参加をお待ちしております。

講師は江部康二です。
湘南教室では、2018年3月以来ですから1年2ヶ月ぶりの講座です。
この数年間、糖質制限食の発展という意味ではとても大きな変化がありました。
年間30回くらい講演をしていますが、
結構、新しい話題も多いので、スライドも毎回更新しています。
今回もわかりやすくお話しますので、乞うご期待です。
講演が70分間で質疑応答が20分間です。
湘南、横浜、東京、関東圏の糖尿人やメタボ人の方々やそのご家族、
奮ってご参加いただけば幸いです。

お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。

2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。

なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した
「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、
大きな追い風となりました。

この1~3年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。

2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。
くら寿司やガストなども糖質制限メニューを投入で、なかなかのものです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、生まれて初めて東京大学医学部に行ってきました。
教授室で、渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長(当時)
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授(当時)
です。

日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

2017年8月には、
「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」
という結論のランセット(Lancet)論文が発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。
Lancet誌オンライン版2017年8月29日号掲載
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3


糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。

江部康二



☆☆☆
以下は朝日カルチャーセンター湘南教室のサイトから一部抜粋です。

糖質制限食による糖尿病の治療と予防
人類本来の食事、人類の健康食


講師:江部 康二(高雄病院理事長)

糖質制限食は、日本では1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。米国糖尿病学会は「摂取後直接、血糖に影響を与えるのは糖質のみで、蛋白質・脂質は、影響を与えない。」としています。食後高血糖と一日平均血糖変動幅増大が糖尿病合併症の最大のリスクとなりますが、従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、必ずそれらを生じるので、合併症の予防は困難です。米国糖尿病学会は、2013年「栄養療法に関する声明」で、糖質制限食、地中海食、ベジタリアン食、低脂質食、DASH食を受容しましたが、糖質制限食に大きな追い風となりました。(講師記)

<日程・時間>
2019/5/26(日) 13:00~14:30

<受講料(税込)>
会員 3,240円 一般 3,888円

<その他>
席は自由席です。必要に応じて資料を配布します。
*個人的は治療相談は承りかねますので、ご了承ください。

<お申し込み>
TEL:0466-24-2255  朝日カルチャーセンター湘南教室

講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・1950年生まれ。
・1974年京都大学医学部卒業。
・1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・ 2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。

<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)監修
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
『男・50代からの糖質制限』2018年(東洋経済新報社)
など多数。
ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記( http://koujiebe.blog95.fc2.com/ )は日に数千件のアクセスがあり、糖尿病のかたやそのご家族から寄せられた質問への回答や、糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。